よく見かける「求人広告」の真実
募集要項を自分の都合のいいようにとってしまう
募集要項に記載されている内容を、「このくらいの条件なら妥協ラインだな」、「30万~50万なら、自分は40はいけるだろう」、なんていう風に、自分の都合のいいように捉えてしまう。これは人間だれしもあることだと思います。ですが、ちょっと待ってください。
堂々を嘘を書いている会社も存在します。確信犯です。
うまくいかない転職活動に、焦っていたりすれば、さらに都合よく考えてしまいがちなもの。でも、そこで我慢です。疑ってみるくらいでいきましょう。
給料面のウソ
私が入ってしまった、ブラック企業の募集要項の給与の表記です。
35万~ : 実際は25万でした。試用期間が終っても、です。
同じように騙されてしまった被害者が、私の他にも大勢いました。40代から50代のそれなりの経験がある方ばかりです。まさか給料の最低限度を偽るなんて、と思われるかもしれませんが、実際の話です。数十人の犠牲者をこの目で見てきました。
この会社は、元々募集通りの給料をだすつもりがない、話にもならないところでしたが、ここまでいかなくても、年収250~750万のように、幅がありすぎるものは、間違いなく最低金額のスタートです。
いたとしても、役員で750万の転職入社がいるだけでしょう。当然そんな人なんか、いない場合もあります。「転職」ですから、0からスタートです。結果も出していなのに、最初からそんな給料だすつもりなんてありません。当然です。
自分の年齢と能力なら、これくらいからスタートだろうなんて、そんなのは自分の勝手な思い込みです。
ボーナスのウソ
ボーナス : アリ
これも嘘でした。
過去に一回も出した実績がないのに、大手転職サイトの募集要項には、「ボーナス有り」と堂々と書かれていました。あとで問い詰めてわかったことですが、これからは出すつもりだったので、今回の求人から、そのように書いたとのことです。
最大手の転職サイトの情報でしたが、そんな程度の理由で、真実と違うことを記載できてしまうんです。なんとでも言えるわけです。
待遇面のウソ
他にも、募集要項でよくあるものでは、
- 現職社員の声 → 社畜上等の上にべったりの社員の声になんの意味が?
- 未経験OK → 経験者なら尚OK
- 大きな裁量 → 会社のやり方が定まっていない。
- キャリアUP可能 → 同上。結果出せないなら使い捨て。
- 事業拡大のため増員募集 → 人が足りないので、すぐほしい。とりあえず誰でもいいから入れる。
- 稼げる → 長時間労働。キツいノルマ。間違いなく過酷な環境。
- 年収〇〇万も可能 → 同上。ごくごく一部にはいるかも。異常なくらいの成果を出せば。
- 40代、50代活躍中 → 40代以上しかいないだけ。本当は若い人がほしいが、応募がない。
- 残業ほとんどなし → 進んで残業をする人を評価
- 休日出社なし → しないと仕事が追い付かない
- 充実の教育制度 → 上の人がそう言っているだけ。実際は放置。
- 快適な環境 → 自分のデスクで昼食。誰も掃除をしない汚い事務所。
- アットホームな雰囲気 → 上が絶対で、誰も意見が言えない。みんながイエスマンなだけ。
- 経営陣に近い環境 → 物理的に近いだけ。
- 各種福利厚生施設 → ほとんどの社員は利用せず。 どころか存在も知らない。
穿って見すぎ、と思われるかもしれませんが、私が入ってしまったブラック企業は、本当にそうでした 。これくらいと思っているほうが、間違いなく真実に近いです。
よくこれだけ事実と違うことを、臆面もなく書けるものと、怒りを通り越して呆れますが、こんな会社も存在するんです。
私が経験したなかで、いちばん酷かったのは、試用期間の延長です。
3ヶ月のはずの試用期間が、1ヶ月延長となり、その間は保険加入もできませんでした。流石に文句を言い、社員にはしてもらい、保険加入はできましたが、給料は試用期間のまま据え置きでした。
募集要項も広告 真実を見極めること
大手転職サイトはブラック企業が多い?!
大手転職サイトはブラック企業の掲載が多い、という噂もありますが、これはある意味本当だと思っています。
実際に、私は1回目と2回目の転職は、最大手さんの転職サイトですんなり決まりました。ですが、2社とも超絶ブラック企業でした。
離職率が高い → 常に求人を出す必要がある → ハローワークでは集まらない → 転職サイトを利用する → 大手に出す
それだけの話です。募集をしている ≒ ブラック企業 なんです。あたり前の話です。
さらに、ブラック企業は中々人が集まらず、常に求人を出す必要があるわけですから、当然掲載に占める割合は多くなるわけです。それが大手なら相当な数になります。
大手の転職サイトだから、募集要項も信頼できる。なんてそんなわけありません。
求人を出しているのは、大手サイトではなく、一会社です。使い勝手のいい、信頼できる大手の、見やすくていいサイトだから、そこに掲載されている会社もいい会社、と思うのは筋違いです。
しっかりと見れば、おかしい求人に気がつく
数多くの求人から、ブラック企業のものを見つけ出さないといけないわけですが、これは、いくつもの募集要項をじっくり見ていくと、不自然なこと、それはないだろう、ということがわかってきます。
- この規模の会社で、本当にここまでの待遇ができるのか?
- 同業他社より、なぜこんなに給料がいいのか?
- そんなにいい条件なのに、なぜいつも募集しているのか?
よく考えれば、おかしいことに気が付くと思います。
いいアピールポイントがないので、イメージ的な表現を使っている。こういうところも多いです。つまり、個人の主観でそう思うことなら、いくらでもいいことが書けるわけです。
見続けているとわかってくる会社の事情
さらに、長い期間募集を見続けていくと、いろいろなことがわかってきます。
気になる会社の募集要項は、長く見続けてください。また募集している、募集の内容が微妙に変化している、など、いろいろなことがわかってきます。
- いつも求人が出ている → まったく人がこない
- 数か月毎に求人が出ている → 入っても、数ヶ月で辞めている
- 募集要項が変わってきている → 人がこないので、より表現を過剰にしている
- 数年に一度募集をしている → レア求人
今しかないレア求人も確かにあります。ですが、むやみに飛びついて大失敗。これを避けたいなら、次の募集を待つくらいの余裕があってもいいかもしれません。
条件が良くなっていく募集要項は要注意
中でも、募集要項の条件が徐々に良くなっていく会社には十分な注意が必要です。応募がないため、無理によく見せようとしている可能性が高いです。
実際の例です。先ほど、35万~の求人で、ブラック企業に入社してしまったとお話しましたが、その会社は、私が入社する前や後にも、嘘の求人を出し続けていました。
- 25万~
- 35万~ ←私はコレで入社
- 35万~+幹部候補
- 50万~+幹部候補
- 60万~
実際はすべて月給25万です。3ヶ月の試用期間が25万で、それが終っても実績を出していない、などと難癖をつけらえ、給料は据え置きにされました。
私が在籍した1年間で、100人は入社したでしょうか、50万での募集の後には、一気に20名近く入社し、苦笑したものです。それなりの会社の中堅どころが多数いましたが、半分は試用期間終了とともにやめていきました。他の人もその後ほぼ辞めていきました。
結果、25万の給料で文句を言わない人だけが残りました。超低給料で、遅い時間まで、土日でも働いてくれる人。もう他を探す気力をなくした人。奴隷を選別していたんだな。と今強く実感します。
久しぶりにその会社の求人を目にしました。「障害者の採用実績もあります!」。。もうなんでもアリですね。
さすがに、相当に頭にきましたので、この最大手転職サイトに、なぜこんな会社の求人を掲載しているのか、クレームを送りました。
いつも変わらない募集要項にも注意が必要
そして、いつも同じ求人を出し続けているところも、注意してください。これは、
・まったく応募がない
・入社してもすぐに辞める
のどちらかで間違いありません。
こんなパターンもあります。
・ある一定の期間が経つと、同じ募集が再掲載される
こういうことろは、ようやく人が来てもだいたい同じくらいの期間で辞めていくんでしょう。研修期間や引継ぎ、OJTや先輩との同行期間の終了など、その会社を理解できる時期になると、皆やめていくわけです。
ずっと募集を見ていると、笑ってしまうくらい同じ間隔で募集している会社もあります。「あぁ、また辞めたんだな」と思って見ています。言うまでもなく絶対に応募しません。
さらには、給料を上げなくていいように、ある程度のタイミングで入れ替える。これを本気でやっている会社もあります。私の1社目がそうでした。10年以上ほぼ昇給なしで、迎える30代後半。そりゃあ転職を考えるでしょう。似たようなことをやっている会社は、いくらでもあるでしょう。
どのパターンの会社でも、結局は募集を常に出している状態になりますし、毎回募集内容を変えるネタも尽きるので、同じような募集になる。わけです。ちゃんと求人を見続けていればわかることです。
それでも同業より、ほんの少しいい条件や、イメージだけの甘い言葉を記載するだけで飛びついてくる方がいるんでしょうね。私のいたブラック企業では、待遇面の記載を変えようがないので、いかに楽しそうな写真を撮るか、それに注力していました。
求人はお金を掛けた「広告」
募集要項はあくまで「見込み」で、虚偽の内容があったとしても、法的な効力や、会社への罰則はありません。
「本人に著しい能力の欠如がある場合」など、その内容を変更できるとのこと。つまりは、どうとでも言えるわけです。良心のかけらもないブラック企業の悪徳経営者なら、なんとも思いません。
例えば、よく聞くこの言葉、「風通しのいい職場」、本当にそんな職場ってあると思います?
あなたの今いる職場は、風通しがいいですか?アットホームですか?一社員が言っているなら、まだ説得力がありますが、上の人間が求人広告で言っていることを真に受けますか?
募集要項も広告です。
お金を掛けて募集しているわけですから、成果を求めています。そこに美辞麗句、魅力的な文言があるのは当然です。異常なくらいに人材に困っている会社でなければ、過剰すぎる広告を出したりしませんよ。
自分の身は自分で守る
待遇は書面で確認、不明な点はしっかり聞く
以上のようなことは、しっかりと求人を見続けていればわかることなんです。ですが、早く転職をしたいと焦っていると、それに気づけなくなってしまいます。そして募集要項を、自分に都合のいいように解釈してしまうんです。
罠のような募集、確信犯の悪徳経営者も存在します。募集要項は人を集めるための広告だということを肝に銘じ、それが本当かどうか、入社前に必ず確かめるようにしてください。
特に待遇面に関しては、確実に確認。雇用契約書など、必ず書面でもらうようにしてください。私のときのように、試用期間の雇用契約書しかくれないところは、かなりヤバいですよ。
そして、少しでもおかしいと思ったことは、しっかりと確認してください。聞きづらい部分ではありますが、ここを遠慮してはダメです。あとで後悔することになりますよ。
厳しいですが、これが私が見てきた現実です。最後に身を守るのは、自分自身しかありません。
コメント