はじめての転職で、物流倉庫業界へ
嘘だらけの求人に騙されて入社してしまった
私は、新卒で入社してから、20数年同じ会社に勤め、45歳ではじめての転職をしました。
これだけ長く勤めていた会社を辞める決断をしたのは、能力ではなく、自分に忠誠を尽くすかどうかで人材を判断していた、ダメな経営者についていけない、というのがいちばんの理由です。
会社の業績が急激に下がり続け、この先給料が上がる可能性がないことも見えていました。
そこで目にした求人広告、募集要項の待遇も良く、これなら今までと同じくらいの給料水準で、仕事内容も希望通り、やりたいことができるとすぐに応募をし、すんなりと採用となりました。
入社したのは、急激に業績を伸ばしている企業で、倉庫業、物流業がメインの会社でした。
しかし、これが悪夢のはじまりでした。実際に入社してみると、募集要項はほとんど嘘、嘘じゃないことを探すのに苦労するくらいの、超絶ブラック企業でした。
これ以上転職歴を汚したくないと、1年辛抱して続けましたが、未来がない兆候を感じ、辞めることを決めました。今となっては、もっと早くやめるべきだったと後悔しています。
そこで働いた1年の実体験を、ここではお話していこうと思います。
底辺と言われてもしょうがない、倉庫業の実態
計画性のまったくない研修
この会社、倉庫、物流業がメインの会社です。私は他の職種で入社しましたので、倉庫の仕事は関係ないはずが、なぜか研修は倉庫作業でした。入社した全員が通る道のようです。
しかも、研修期間は担当者の裁量次第、研修内容も気分次第。マニュアルやその後の配属計画、スケジューリングなんてものは皆無でした。
研修の期間は、だいたい2週間なんですが、たったの2日で終了という人もいました。初日に一緒に研修をしていたとき、「きのう入社した」と言っていた方が、翌日にはいなくなっていて驚きました。
あとでわかりましたが、会長の親族である、この担当者が気に入らないと、即終了で放り出されるそうです。なんのための研修なんでしょうか?

私は、この現場の担当者である女性に気に入っていただいたらしくw、研修が3週間も掛かりました。
その間は、「いつ研修がおわるんだろう」、「本当に希望通りの部署に配属されるんだろうか」、「このまま倉庫作業に配属になってしまうのではないか」、夜もよく眠れず、胃がキリキリ痛む不安な日々を過ごしました。
その後、無事に希望の職務への配属となりましたが、倉庫業の現実を見る機会としては、ひとつの経験だったと思います。
倉庫業で出会った年下の先輩たち
研修の数日目に、数ヶ月前に入社したという30代の先輩の方から教えてもらう機会がありました。倉庫の奥でふたりだけでの作業です。
いろいろ質問をされました。「どんな仕事をしてたんですか?」、「その業界は給料どうですか?」、「ブラックな業界ですか?」。出会っていきなり転職のため、他の業界の情報収集です。
彼は、いつ辞めようか、入社してから常に考えていると言っていました。
20代で、リーダー候補的な役割の方がいました。明るく礼儀正しい青年で、倉庫での仕事をいろいろ教えてもらいました。
まだ入社して半年くらいとのことでしたが、今後は彼が中心となるように育てていくんだろうな、と思っていました。
ですが、ある日急に彼がいなくなっていました。挨拶もなく、いつのまにか辞めていたんです。
なぜかパート化を推進しない、その恐るべき理由
ここでは、パートさんも何名か働いていました。外国人の社員の方も多かったです。パートさんたちは、同世代の方が多く、すぐ仲良くなり、研修自体は楽しくおこなっていました。
このパートさんたちですが、ほとんど社員と同じ作業をしています。ピッキングから封詰めなどといった単純作業です。指示されるということだけが違います。
自分なら、パートさんをもっと増やして、コストダウンするのに、なぜこんなに社員比率が高いんだろう?と疑問に思っていました。
入社して数ヵ月後、その疑問が解けました。
1回の募集で、大量に採用 → 試用期間は3ヶ月は、最低給与で保険加入させない → 試用期間が終了しても、募集要項の給料にしない → ほとんどの人が辞めていく
この永久ループで 最低給与で人を使い続けていたんです。 怖ろしいシステムです。
そこで辞めなければ、さらにラッキーです。そのままの給料で、長時間残業と土日出社を受け入れて働き続けてくれる社員が増えるわけですから。
人が入れ替わり続けるので、効率化のしようがない
こんな状態で人が入れ替わり続けるのですから、効率アップなんてできるはずありません。
急な依頼で、慌ただしい日があるかと思えば、手が空くことも多く、そんなときには、今やる意味があるのか疑問な、単純作業を延々と続けさせられました。
他にも、荷物が届くのを待つ間のダラダラとした残業や、急に他の倉庫に手伝いに駆り出されるなどなど。その日の仕事が終わればいい、といった行き当たりばったりの日々。
根本的に改善しようという姿勢は感じられませんでした。
早く出社する人は皆無で、庫内の掃除は週末の最後15分だけでした。

いつも朝ひとりで掃除をしていました。こういったことも大切だと思うんですが。一緒にやってくれる人は、誰一人現れませんでした。
倉庫へ向かうバスの車内は、囚人の気持ち
無料送迎バスで通勤する日々
この会社の周辺は、東京都と埼玉県の都県境で、車での便はいいことから、倉庫業、物流量の会社が数多くある地域です。ヤマト運輸の大きなセンターもありました。
その分、駅からは遠いので、駅から会社が用意した無料バスが出ていました。それに乗って毎日出勤していましたが、その車内は、まるで囚人さながらでした。
単純な作業、きのうとかわらない今日、そして明日も。抜け出せない底辺をみんな感じているのでしょう。会話どころか、挨拶すらろくに聞いたことがありませんでした。
いつのまにか来なくなった、辞めたであろう人、妙に明るく接しようとしている、入ったばかりの人、たった1年勤めただけですが、色々な人を見てきました。そして、みんな数日で無口になっていきました。
無駄な残業を生む 帰りの無料送迎バス
帰るときも、このバスに乗るわけですが、このバス1時間に1本しか出ません。ちょうど仕事が終ったタイミングに合えばいいですが、それを逃すと1時間後です。歩けば3km、30分くらいかかります。
結果、無駄な残業を生むことになっていました。今思えば、これもサービス残業をさせようという、この超絶ブラック企業の罠だったのではと思います。
気になる会社なら、このバスに乗ってみる
もしあなたが応募を考えている会社で、こういった送迎バスがあったとしたら、応募前に、このバスに乗ってみる。ことを強くおすすめします。
お客様など、来社される方が乗ることもありますので、堂々としていれば何も言われず普通に乗れます。

入れ替わりが多く、周りの顔もみないので、乗れるとも言えますが。。。
本当に失敗したくないなら、これくらいのことをやってみるべきです。「送迎バスがある」ということを、「情報を得られるチャンス」と捉えてください。
朝の時間に、社員の方にどのくらいの活気があるか、夕方の時間に、どのくらい疲れた顔をしているのか、自分の目で確かめにいきましょう。
安易に「楽」を選んで後悔しないように
「ロジスティクス」なのは社名だけ
こんなあからさまな人の入れ替えをやるような酷い会社はそうそうないでしょうが、人材を軽視して、似たような採用をしているところも多々あるのではと思います。
ネット販売は急激な拡大が続いています。その恩恵で伸びている会社も多いことでしょう。事業の大きな利益改善にもつながり、クレームにも直結する、物流業や倉庫業はとても重要な部分です。
ですが、社名が、「ロジスティクス」に変わっても、言葉の意味に、中身がともなっていない物流会社、倉庫会社はまだまだ多いのではないか、と実際に働いて感じました。
本当に一作業員でいいですか?
単純な作業をやらせると、人間の要領の良さがでるものです。それを、誰がやっても、同じ精度、同じ速度でできるように、システマチックに組み上げていき、徹底的に効率化を図ることが大事なわけです。
そういった努力を怠り、ただの単純作業と捉えているような、倉庫業の募集要項には、「誰でもできる作業」、「簡単な仕事」などという文句が並んでいます。
こういう「楽である」ことをアピールする募集は注意です。つまり、替えはいくらでもいる、昇給のチャンスはない、と同義です。求められているのは、ただ作業をする人なわけです。
最低限の給料でいい。という方はそれでもいいんでしょうが、そうでないなら。自分のできること、スキルをしっかりと把握し、高く買ってくれる職場を真剣に考えてください。
単純な仕事で、楽な会社、そこで給料アップなんて夢物語です。安易に「楽」な選択をすることは、悪夢となる可能性がありますよ。
↓この続編となる記事も公開しました。
↓もし私がもう一回転職活動をするとしたら、本気で考えてみました。
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